専門家の考察
この悲劇的な事故の背後にいるのは、十脚目「オウギガニ科」に属する有毒ガニである可能性が極めて高い。特に熱帯域に広く分布するウミタケガニ(学名: *Zosimus aeneus*)などは、フグ毒として知られるテトロドトキシンや、麻痺性貝毒のサキシトキシンを体内に大量に蓄積している。
驚くべきは、彼らが自ら毒を生成しているわけではない点だ。環境中のバクテリアや餌となる藻類を通じて毒を取り込む「生物濃縮」というプロセスを経て、最強の化学兵器を身に纏う。これは捕食者から身を守るための究極の防御戦略だが、これらの毒は熱に強く、加熱調理しても一切無毒化されないのが恐ろしい。
進化的には、オウギガニ科は非常に多様で、食用可能な種と猛毒種が外見上酷似しているケースが多い。専門家でも同定(種の特定)を誤るほど「紛らわしい」種が存在し、まさに「海の地雷」といえる存在だ。
今回の事件は、SNSでの過激な演出が、数億年の進化が作り上げた自然の生存戦略と衝突した結果と言える。熱帯のサンゴ礁域において、鮮やかな色彩や特異な形態は、時に「食べたら死ぬ」という自然界からの強烈な警告色なのだ。生物学的な知識を欠いた不用意な接触が、いかに致命的であるかを物語っている。
新しい甲殻類のニュースです。
フィリピンのインフルエンサーがWebコンテンツ収録中に致死性甲殻類摂取で死亡 – Mix Vale
Source: Mix Vale
Published: Fri, 13 Feb 2026 21:13:56 GMT

