専門家の考察
テッポウエビ(テッポウエビ科)の放つ衝撃波は、生物界でも屈指の物理攻撃である。彼らは大型のハサミを高速で閉じる際、「キャビテーション」と呼ばれる現象を引き起こす。これは液体の圧力が急激に下がることで気泡が発生し、それが潰れる瞬間に凄まじい衝撃波と熱を放つ現象だ。その威力は、一瞬ではあるが太陽表面に近い数千度に達し、プラズマ発光(ソノルミネッセンス)すら伴う。
特筆すべきは、この破壊的なエネルギーから自らの脳をどう守るかという点だ。本研究が明かした「ヘルメット」の正体は、目を覆う透明な甲羅「眼窩フード(がんかふーど)」である。この構造は単なる物理的な壁ではない。フードの下に水を蓄えることで、衝撃波の圧力を逃がす「流体ダンパー(緩衝装置)」として機能しているのだ。
進化の過程で、彼らは「最強の武器」を得ると同時に、自爆を防ぐための「究極の防護服」をセットで獲得した。これは、強力な打撃を放つシャコ(口脚目)が、衝撃を分散させる特殊な多層構造の甲殻を持つことと並び、生存戦略における「攻撃と防御の同時進化」の極致と言える。ミクロな戦場が生んだ、驚異の生物学的エンジニアリングである。
新しいエビのニュースです。
指パッチンで超音速衝撃波を放つエビは自爆防止ヘルメットを装備していた – ナゾロジー
Source: ナゾロジー
Published: Mon, 16 Feb 2026 11:11:01 GMT


